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これは、水銀燈が駆け出しの教師であった時のお話。 白い壁。医療薬品の匂い。窓から見える嫌なほど蒼い空。 白いベットに白い布団。枯れかけ花が飾られた小さな机。 そして、病的に白い肌と艶のない黒い長髪の女の子がベットの上に居た。 水銀燈「お邪魔するわよぅ~」 勢い良くとは、行かないが元気良く開かれる病室の扉。 水銀燈は、ベットの上に居る女の子を見てにっこりと微笑む。 水銀燈「今日は、不死屋の苺大福買ってきたわよぅ~ 一緒に食べましょう?」 水銀燈は、不死屋と書かれた袋を女の子に見せてそれを、食事用のテーブルに乗せた。 女の子からの反応は無く、女の子はただ窓の方を向き蒼い空を見ていた。 水銀燈「なにこれぇ……枯れかけてるじゃなぁい~」 小さな机に飾られた枯れかけの花を見て、水銀燈はそう言うと花瓶を持ち上げ一度部屋を出た。 しばらくして水銀燈は、戻ってくるとまた同じように花瓶を小さな机に乗せた。 水銀燈「めぐぅ~こっち向きなさいよぅ」 めぐ「…………」 めぐと呼ばれた女の子は、水銀燈の言葉に答えたのか水銀燈の方を向く。 生気の無い顔。この世に絶望した顔。早く死にたい。そんな顔をしているめぐ。 水銀燈「相変わらず……死にたいの?」 めぐ「……えぇ……ドラマみたいに此処から見える木の葉っぱの最後の一枚が落ちたら死ねるかな?」 水銀燈「真紅の言葉を借りれば、ナンセンス。非現実的な思考よそれ」 慣れた手つきで、お茶を入れていく水銀燈。 はい。と、お茶の入ったカップをめぐに手渡す水銀燈。 めぐ「ねぇ……先生」 水銀燈「なぁに?」 めぐ「なんで、私は生まれたんでしょうね……」 めぐの言葉を聴いて、スゥッと目を細め真剣な表情をする水銀燈。 めぐ「生まれた頃から、心臓に病を持って……ねぇ……本当に何で生まれたんでしょうか私」 水銀燈「……アナタの」 めぐ「え?」 水銀燈「アナタの両親が、生まれてほしい。幸せにしたい。そう、思ったからに決まってるじゃない」 そっと、めぐの頬に手を添える水銀燈。 水銀燈「のびのびと育ってほしい。幸せに生きてほしい。めぐが、どう思ってるかしらないけど」 そこで、言葉を切り水銀燈はめぐの頬を一度なでたあとめぐの手をとる。 水銀燈「厄介とか不幸な子だとか、こんな子生みたくて生んだんじゃないとか、そう言うのは絶対に無いのよ」 めぐ「………詭弁ですね」 水銀燈「そうね、詭弁で偽善で安い言葉。ヘドがでる?」 そうですね、ヘドがでます。と、めぐはうなづく。 水銀燈「誰かの為に生まれ、誰かの為に死に、誰かの為に幸せになる」 水銀燈が、ポツリポツリと呟き出した。 そのつぶやきを聞いて、めぐは分からないと言う表情になる。 水銀燈のつぶやきは続く。 水銀燈「何かを求め。切望し絶望し希望を見出し何かを手に入れればいい」 めぐ「先生?」 水銀燈「ねぇ、めぐ」 めぐは、はい? と、首をかしげる。 水銀燈「アナタは、何かを求めた?」 めぐ「え?」 水銀燈「アナタは、今何を求めてるの? 本当にそれは今求めたい事?」 水銀燈の重い言葉。私の今求めているもの。それは『死』 だけど、それは本当に……本心で求めてる? 水銀燈「さてと、お茶が冷めちゃったわねぇ。苺大福食べましょう」 先ほどの真剣な顔つきとは打って変わっていつものおちゃらけた表情に戻る水銀燈。 包みを開けて、苺大福を取り出し一つめぐに手渡す。 めぐ「…………」 水銀燈「相変わらず不死屋は、いい仕事してるってやつねぇ~」 苺大福を一口食べて水銀燈はそう言う。めぐは、一言も発せずただ黙々と食べていた。 意味の分からない先ほどの水銀燈のつぶやきと、尋ねられた事が めぐの頭の中で、ずっと残っていた。 私は『死』以外を求めていいの? 苺大福を黙々と食べながら、そう考えるめぐ。 水銀燈「あら、結構時間がたったのね」 ふと、窓の外を見れば黄昏時の黄金色が、空に満ちていた。 水銀燈は、イスから立ち上がるともう空になった包みを丁寧に折りたたんで直ぐ側にあったゴミ箱に投じる。 水銀燈「また、明日ね? めぐ。何かほしいモノある?」 めぐ「………ノートと書く物をお願いできますか?」 水銀燈「えぇ、わかったわ」 めぐの言葉に、水銀燈はうなづきそして「またね」と、水銀燈は病室から退室した。 水銀燈が、めぐにノートと書く物を手渡してから数日後。 めぐと水銀燈は、病院の屋上に居た。 水銀燈「いい風ねぇ~ ちょっと肌寒いけど春が来てるって事よねぇ~」 めぐ「そうですね……いい風です」 屋上から見える風景。 遠くに見える山は緑色。聞こえないはずの山の音が聞こえてくる様だった。 めぐ「先生」 しばらく無言が続いたが、めぐは水銀燈に声をかける。 水銀燈「なぁに?」 めぐ「ありがとうございました」 水銀燈「な、なによぅ行き成り。もう今日が最後のお別れみたいな事言ってぇ~」 めぐ「ふふ……ただ、毎日来てくれる先生への感謝の言葉です」 くすりと微笑んで、めぐは自分の言葉に焦っている水銀燈にそう言った。 その言葉に、水銀燈は頬を赤らめて恥ずかしそうに頬を掻いた。 めぐ「あぁ、本当に……いい風」 フェンスの取ってに手を置き、ぐっと伸びをするめぐ。 その表情は、絶望もあきらめも何も無く何処か、先を求める。そんな顔をしていた。 水銀燈「そうねぇ~……そうだ、めぐ」 めぐ「はい?」 水銀燈「もっちょっと暖かくなったら不死屋の餡蜜食べに行きましょう」 めぐ「はい」 水銀燈の提案に、微笑んでうなづいためぐ。 その日の夜。 水銀燈は、真っ暗な道を走っていた。正確には、奔る。 息が切れ、肺が体が酸素を求めているがそれを無視し、最低限の空気を取り込み。 水銀燈は、駆ける。 急がなければ、急がないと、早く、早く、早く、速く! 事の始まりは、一通の電話だった。 明日は、めぐに何を持っていこうかな? と、考えていた矢先の出来事。 電話から伝えられた一つの事実。 めぐのお母さんからの一言。 『めぐが危篤状態に』 掠れはっきりとしない涙声で、何とか聞き取れた言葉。 水銀燈(嘘でしょ!? めぐ!!) 走る。走る。走る。走る。走る走る走る走る。 服が髪が乱れる事なんて構ってられない。 水銀燈(あんなに元気だったじゃない! 餡蜜を食べに行く約束したじゃない!!) 乱れる息。痛いく鈍痛が走る足。 目じりから流れる涙が、漆黒の空間に輝く。 遠い。病院までの道が、遠い。 水銀燈「あぅっ!?」 石に躓き、転ぶ水銀燈。体が停止した事により、一気に襲い来る疲れと痛み。 膝から血が出ている。靴がボロボロになっている。 靴を投げ捨て、軋む体で立ち上がり、また走り出す。 ようやく病院に到着する水銀燈。 その姿は、鬼気迫るまるで夜叉。 息を切らせ、ボロボロになった服と足。 髪はぐしゃぐしゃに乱れている。 ソレを見た看護士が、水銀燈をとめたが今の状態の水銀燈をとめられる者などおらず 水銀燈は、めぐの病室までたどり着く。 水銀燈(危篤なんて嘘でしょ? ここを空けたら「また来たんですか?」って言ってくれるんでしょ?) はぁはぁ、と息を切らせ、その紅の瞳から流れ落ちる涙もぬぐわず。 水銀燈は、扉を二、三度ノックしゆっくりと扉を開く。 期待は、裏切られるモノ。 呼吸器がつけられ、苦しそうな表情で目を瞑っているめぐ。 耳にやけに響く、心電図の不規則的な電子音。 めぐの母親が、「先生……」と声をかけるがそんなのは耳に入ってなかった。 よろよろと、めぐに近づく水銀燈。 そして、めぐの細い手を握る。 水銀燈「明日くる予定だったけど、来ちゃったわよ。めぐ」 水銀燈は、めぐにそう声かける。 ふっと、苦しそうに目を瞑っていためぐが目を開き水銀燈の方を見る。 めぐ「……先生……」 水銀燈「めぐ?! そうよ! 先生よ! 不死屋の苺大福もってきてるんだから! 一緒に食べましょう!」 持って来ては居ないが、それがあるのよ。と、大声でそう告げる水銀燈。 そんな、水銀燈にめぐは、呼吸器ごしだが口に笑みを浮かべた。 めぐ「……餡蜜……」 水銀燈「そうよ! 約束したじゃない! 一緒に餡蜜食べにいくんでしょ!?」 めぐ「……また……今度に……なりそうです……」 水銀燈「そ、そんな事いうんじゃないわよぅ!」 ボロボロと涙を流す水銀燈。 何を、泣いているんですか。と、声が出ないのか口だけを弱弱しく動かすめぐ。 水銀燈「まだ、まだ、私はめぐに、餡蜜も食べさせてあげてないし、まだ、まだ」 自分で何が言いたいのかわからないのか、水銀燈は、混乱しながらもめぐに話しかける。 こまった先生ですね……と、また弱弱しく口を動かすめぐ。 そして、ピーッと心電図が、不規則な音から、一定した電子音を発する。 水銀燈「めぐっ?! めぐぅ!?」 その場に居合わせた医者が、慌てたように心臓マッサージを試みる。 ナースコールを押して、電気ショックを持って来るように告げる医者。 何度も何度も心臓マッサージは続けられる。 電気ショックにより、跳ね上がるめぐの体。 そして、医者が手を止めめぐの目にペンライトを当て脈を取る。 『二十一時○○分○○秒……ご臨終です……』 その言葉に、床に崩れ落ちる水銀燈。 声を出して泣きたかった。こんなにも、涙は出てるのに。 声が、出なかった。 『先生……これ、めぐが……先生にって』 めぐが死んで葬式が終わった頃。 めぐと最後の別れを告げ終えた頃。 めぐの母親が、一冊のノートを水銀燈に手渡した。 いつか、ノートと書く物が欲しいと言ってその翌日に手渡したノート。 水銀燈は、パラパラとそれをめくる。 『私は、今、死を求めてる。でも……分からない』 『今日、先生が来た。来た瞬間転んだのは、可笑しかった』 『今日、なんとなくロビーに居た。小さい子供に話しかけられ、少しお話した』 『今日、先生が不死屋の苺大福とわさび大福を持ってきた。ロシアンルーレット大福らしい。先生が自爆』 日記帳として、使用されていたそのノート。 『今、私が本当に求めたいこと。私、生きたい』 枯れたと思った涙が、水銀燈の頬をつたる。 『今日は、何か頗(すこぶ)る気分が良い。屋上で先生と風に当たる。餡蜜を食べる約束をした』 『生きたかったなぁ………せ………んせ……』 最後の文章は、曖昧な文字になっていた。 あの時でなかった声を上げ、水銀燈は泣いた。 屋上のあの時の言葉を思い出し、また泣いた。 女子「先生。つぎ、先生の授業ですよ(なんで私が……やってられねぇ)」 水銀燈「あら、そう……わかったわ」 女子「……(え? 水銀燈先生よね? この人)」 いつも艶っぽい舌足らずの声ではなく、普通のごく普通の返答にそう思う女子。 水銀燈「? どうしたの?」 女子「あ、いえ。その古めかしいノートなにかなぁって」 水銀燈の問いかけに、慌てたように女子はとりあえずその本当に古めかしいノートへ話題を振った。 水銀燈「これね。私の始めての教え子からもらったその子の日記帳」 何処か、懐かしげに悲しげに儚げにそういう水銀燈。 女子「慕われてたんですね」 水銀燈「そうかもしれないわね。今となってはもう確認も何もできない事よ」 女子「え?」 水銀燈「さーて、授業行きましょうか。男子が煩そうだしね?」 女子「あ、はい」 水銀燈は、古めかしいノートを丁寧にデスクの引き出しにしまうと席から立ち上がる。 そして、女子にそう声かけて職員室を女子と共に後にした。 廊下の窓から見える空は、いつもとなんら変わりなく。 いつまでも蒼く。時間により黄昏色。時間により黒い。 水銀燈「あぁ、そうだ。今日、一緒に餡蜜でもどう?」 女子「へ? わ、私ですか?」 水銀燈「そう、もちろん私のおごりよ?」 女子「なら行きます」 じゃぁ、放課後ね。はい。 ねぇ、めぐ。今度また何処かで会えたなら。餡蜜食べに行きましょう。
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制服の魅力 最大ステータス No 星 最大HP 最大ATK 最大DEF ストーリー 1023 5 254 135 133 SI2-55 PS CTRを20%上昇(4ターン) +限界突破時のステータス 凸数 最大HP 最大ATK 最大DEF PS 0凸 158 84 66 CTRを10%上昇(4ターン) 1凸 174 92 76 CTRを10%上昇(4ターン) 2凸 191 102 87 CTRを10%上昇(4ターン) 3凸 210 112 100 CTRを15%上昇(4ターン) 4凸 231 123 115 CTRを15%上昇(4ターン) 5凸 254 135 133 CTRを20%上昇(4ターン) 星 CTR上昇 最大HP 最大ATK 最大DEF PS 5 制服の魅力 254 135 133 CTRを20%上昇(4ターン) 5 バトルプレリュード 566 326 133 技属性のCTRを15%上昇 4 2人だけのパジャマパーティー 605 181 113 技属性のCTRを10%上昇 4 2人で見上げる花火 481 107 234 力属性のCTRを20%上昇 EV21 これがわたしのメイド道ッ!のイベント報酬メモリアカード。レアリティは星5。 CTRを上昇させるPSを持つ。同種のPSを持つメモリアカードと比較すると、上昇率の高さと属性指定が無いという汎用性の高さがウリ。ただ、ステータスは配布メモリア相応にしかなく、コストも高いので積極的に採用しなければいけない場面は少ない。 なおリディアン音楽院は外部編入制度のある小中高一貫校なので、中学生相当の身体年齢であるセレナが自分の制服に袖を通すことは可能である。中等科の制服も同じデザインなのかとか、イノシス世界のリディアンが健在かどうかなど疑問は残るが…。 相性のいいカード 星 属性 カード名 最大HP 最大ATK 最大DEF 最大SPD 最大CTR 最大CTD スキル 4 力 天羽奏/STAB∞METEOR 1227 831 295 17 14% 10 追加ダメージ(4ターン) 追加ダメージのPSを持つカード。当メモリアのPSとは効果ターンが同じ。他のCTR上昇系メモリアと比べた場合、ATKステータスが少し高いというのが利点。星4なので当メモリアのコスト高を若干抑えることが出来る。 ストーリー +... あらすじ 学校に憧れを抱くセレナ。形だけでもと、調からリディアンの制服を借りて着てみることに。 これがわたしのメイド道ッ! セレナ メモリアカード 星5 月読調 未来 配布
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じっしつてきせいふく【実質的制服】[名詞] 公立の中学校で見られる”標準服”の別名。 着用を生徒に強制させている時点で制服と大差は無いことから。
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制服について 「制服」というよりは「指定服」であり、一応全身きっちり指定があるにはあるが、とりあえずスラックス・スカート、ネクタイ・リボンが指定のものであれば、風紀を乱さない範囲でならシャツ・セーター・ベスト・靴下・靴・アクセサリーなどは自由にして良い。 靴は校舎内に入る際、上履きに履き替える。 ジャージだけは全員統一。同じデザイン(学年ごとに色は違う)。 衣替えの時期は明確に定められてはいないが、大抵の生徒は6月頃から夏服、10月頃から冬服、としているようである。 上着(コートなど)や鞄については指定がない。風紀を乱さない程度にすること。 また、例外的に風紀委員だけは男子は白い学ラン、女子は黒いセーラー服の着用が義務付けられている。 指定服(高等部) ブレザー 明るい灰色で、三つボタン。シンプルなデザイン。胸ポケットに校章を縫い付けるか、校章ピン(金色)を襟につけるかを選択。 スラックス 紺色。よくあるデザイン。 スカート 紺色のプリーツスカート。 白いラインが入っている。 カッターシャツ 白い、よくあるやつ。 セーターやベスト これは指定なし。 ネクタイとリボン 男子はネクタイ。 女子はネクタイかリボン(ボタンで留めるタイプのもの)かを選択。 上履き これまたよくあるタイプ。白地に、ゴムだけ色のついたやつ。学年カラーのものを着用のこと。 指定服(中等部) 基本的には高等部と同じだが、ブレザーの色がベージュ。 学年カラー ネクタイ・リボン・上履きは、学年ごとに色が定められている。 どこぞの万色学園と同じように、緑・赤・青の順でループしている。 今現在は三年生が赤、二年生が青、一年生が緑となっており、今の三年生が卒業すれば次の三年生(今の二年生)がそのまま青、二年生が緑、新入生が赤となる。 ジャージ 基本的に、これの上下を着用していれば、下に着るTシャツや靴下等は自由。 靴やアクセサリーは、運動に適さないものは着けちゃ駄目、みたいな制限があると思う。 _
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572「なぁ、お前先生の中で誰が1番好き?」 296「やっぱ銀ちゃんかな」 572「なっテメェもかよ!」 296「あれ?ひょっとしてお前も?じゃあ次の授業で差付けさせて貰うわ」 キーンコーンカーントーン水銀燈「はい、授業始めるわよぉ」 296「先生、教科書忘れましたー」 水銀燈「あらあら仕方ないわねぇ、私のを貸してあげるわぁ」 296「ありがとうございまーす」(ニヤッ) 572(クッ) 水銀燈「でも、私も教科書無いと授業できないわねぇ、572君、教卓の前で調度良いから見せてくれないかしら?」 572(ニヤッ 296「プッ、お前が水銀燈先生の教科書を貸してもらって居た時はやられたーって思ったが……プププ、水銀燈先生と一緒に教科書見ちまったぜ。あんなに顔を近付けて」 572「クッ、まさに策士策に溺れるとはこの事だ…」 296「まぁ、あれで3歩は俺がリードしたかなぁ」 572「うるせぇ、次は必ず俺が…っ」 ……キーンコーンカーンコーン 水銀燈「はぁーい授業始めるわよぉ」(学活) 生徒A「あれ?先生薔薇水晶先生はどうしたんですか?」 水銀燈「薔薇水晶先生は姉の雪華綺晶先生が食べ過ぎで倒れたため、病院にいったのよぉ」 水銀燈「だからぁ、今日は簡単なプロフィール作って貰うわねぇ」 572「まずい…せっかくの水銀燈先生の授業なのに眠い…昨日メタルギアオンライン遅くまでやってたからな…少し…寝よう」 296「572の奴寝てやがる、チャンス!」 ………チーンコーンカーンコーン 水銀燈「はぁーいプリント集めてきてぇ」 572「まずい白紙のままだ…!仕方ないか…」 ………職員室……… 薔薇水晶「…授業…お疲れ様」 水銀燈「あらぁ、戻ってきたのぉ?」 薔薇水晶「…うん…お姉ちゃんはもう大丈夫」 薔薇水晶「学活は…何をやったの…?」 水銀燈「プロフィールを書いてもらったのよぉ、見てみるぅ?」 水銀燈「えーと572君は…」 名前 572 血液型 水銀燈先生と同じ 家族構成 水銀燈先生 好きな色 水銀燈先生色 好きな食べ物 水銀燈 将来の夢 水銀燈先生に相応しい男になる。 薔薇水晶「これは……恋文?」 水銀燈「………」 水銀燈「572君、ちょっと来てぇ」 572「おっ水銀燈先生に呼ばれちまったぜ」 296「ッチ何でお前が」572「何ですか?」 水銀燈「プロフィールに変な事書かないでねぇ、後私は食べ物じゃないのよぉ」572(水銀燈先生を食べる…)ハッ 572「えっ?何の事ですか?」 水銀燈「惚けなくても良いのよぉ」 572「いや、マジで何の事ですか?」 水銀燈「これのことよぉ」ピラッ(プロフィールを見せる) 572「これは…っ僕はこんな事書いてないですよ!」 296「そうですよ。水銀燈先生、こいつ小学校時代から学校の先生が大嫌いなんですよ。だからこんな事書く訳無いですよ」 水銀燈「あらぁ?そうなのぉ?じゃあ私の事も嫌いなのかしら?」 572「そっ…」 296「絶対そうですよ。だってこいつ今日の学活の時、先生の授業がいやで、寝てたんですよ?」 水銀燈「そぉなのぉ?でも何で前の席の貴方が知ってるのぉ?」 296「それはこいつの席でこいつのプロフを…ハッ」 572「てめー、俺のプロフィールに落書きしたんじゃねぇか!」 296(しまったぁー) 水銀燈「じゃあ、つまり572君は書いてなくて、296君がいたずらしたのねぇ?」 572「そうですよ、全くこいつ最悪ですよ。俺が水銀燈先生を嫌いなわけないじゃないですか!むしろ愛…」 水銀燈「ん?」 572「いやっ何でもないです」 水銀燈「まぁ、296君は反省しなさいねぇ」 296(ズーン)「すいませーん」 薔薇水晶「良い勝負…ね…」
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「蒼星石……ちょっと話があるらいふぅ」 「……それはもう流行らないよ……で、話ってなんだい?」 いつもの放課後の部室、ドラムのセットをする中、翠星石は神妙な面持ちで蒼星石を見る まあ翠星石が真面目な顔の時はトラブルの前兆…… 大事になる前に僕が止めないと…… 「実は翠星石は今日……チョコを持ってきたんです……けど」 そこまで言うと翠星石はセットの手を止め、顔を赤らめ俯いてしまった ああ……そういえば今日はバレンタインか…… 「ふんふん……だから今日はいつもより凄く早起きしたんだね」 「…………です」 翠星石はますます顔を赤らめてうずくまる まあ……誰に渡すかは……ね 「一応聞くけど……誰に渡すんだい?」 「ままままぁ!ぎぎぎ義理チョコを一つだけなんですけど!……ジュンに……」 「ふふ……そうだね、ジュン君も喜ぶと思うよ」 「ぅぅ……ま、まあ本題に移るです!」 ……あれ? これが本題じゃないの? 「実は今回のチョコはロックの魂を吹き込んだんです……」 ………え? 何を言ってるのか分からない、といった顔の蒼星石をよそに、翠星石は話を続ける 「ロックの魂に従ってですね……翠星石のチョコは甘さに反抗してみたんですぅ」 ……… 「本来の甘さとのギャップに生まれる愛……実にロックですぅ……」 恍惚の翠星石と困惑の蒼星石 ……ちょっとだけ嫌な予感が漂ってきた 「……ギャップ?」 蒼星石は姉の言動に戸惑いながらも、とりあえず話を掘り下げる 「そう、ギャップ……その秘密はこれですぅ!!」 翠星石はそう声を張り上げ、制服のポケットから一つの瓶を取り出した 「……!こ、これは…」 「ふ……ご存知、暴君ハバネロタバスコですぅ」 「まさか……君は……」 よく考えてみたら彼女はスコーン以外の料理はからっきし、チョコなんかもってのほかだった 「まあまあ蒼星石……翠星石だってチョコにハバネロはあんまり合わない事くらいわかるですぅ……そこでですね」 嫌な予感が確信に変わる 「試作品を味見してもらうことにしたですぅ」 「……誰に?」 ハバネロチョコなんて食べさせられたら…… 考えるだけで僕の背中に冷や汗が走る 「安心するですぅ、大事な妹をそんな危険な目にあわせる訳ないですぅ」 怯える蒼星石に向かってニコニコと微笑む翠星石 ……… 「そこでですね、この暴君チョコをチビ苺と、暴君ピルクルを水銀燈のやつにですね……」 「ま、待った!!」 蒼星石は鞄から危険物を取り出す翠星石を必死で止める 水銀燈はおろか、雛苺にハバネロなんて食べさせたら何が起きるか分からない 中辛のカレーで発狂した雛苺の事だ、デス声で翠星石に殴りかかる可能性さえある 「なんですか?蒼星石」 「僕は……僕は止めた方がいいと……」 「大丈夫ですぅ、蒼星石は黙ってさえいてくれればいいですから」 流石に今回は洒落にならない 語尾革命の時は実害は無かったから放っといたけど、今回は雛苺の命がかかっている 「とにかく!僕は反対だよ、いくらなんでもメンバーを犠牲にするのは……」 「ふ……ふふふふふふ」 ……? 何だろう? 姉を説得しようとする蒼星石を前に、翠星石は不適な笑みを浮かべる 「さすが私の自慢の妹、メンバーを第一に考えるその姿勢、翠星石は感動したです」 「じゃあ翠星石……」 「だが……ですぅ」 翠星石は完全にドラムのセットを止め、ポケットから取り出した携帯を片手に、蒼星石に近づいた 「蒼星石……これを見るです」 ……何だろう? 蒼星石は出された携帯の画面をゆっくりと覗き込んだ 「………!!!」 14 【僕っ娘】2月15日までに1000まで行ったら妹のはだけたパジャマ姿うp【妹】 「翠星石……いつの間に……」 ……いや、落ち着くんだ 僕は朝起きた時しっかりパジャマを着ていたし、ここ最近写真を撮られたことは無い つまり……これは単なる脅し…… 「翠星石……僕はこんな手には………」 「賢い蒼星石なら……翠星石がただチョコを作るためだけに早起きした……なんて考えてないですよね」 翠星石は片手で蒼星石の手を掴みながら、携帯のデータフォルダを開ける 「…そ…そんな……」 データフォルダの中にははだけたパジャマ姿の自分と、内緒で購入したくんくんのパンツがありありと写されていた 「賢い蒼星石なら……どうするですか?」 どうするもこうするもない もうスレは983まで加速している (……ごめん…みんな…) あろうことか自分を人質に捕られた蒼星石はゆっくりと頷く事しか出来なかった 「あ―!―翠星石と蒼星石――!今日は早いの~」 「あらぁ、ホント珍しいわねぇ~」 不幸なやり取りが終わった直後、ホームルームを終えた不幸な二人が部室へやって来た 「チビ苺、今日はバレンタインですから翠星石がおいしいチョコをくれてやるですぅ」 「もちろん水銀燈にもバレンタインピルクルがあるです、喜んで受け取るですぅ」 ……… 「珍しいの~!翠星石がプレゼントをくれるなんて珍しいの~!」 「フフ……そうねぇ……折角だから受け取ってあげるわぁ」 はしゃぐ雛苺に喜ぶ水銀燈 ――黙る蒼星石 「ささ、早く食べるですぅ」 翠星石に促されるままチョコを頬張る雛苺 ピルクルを一気飲みする水銀燈 ――祈る蒼星石 「う……う……うにゅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」 「………ゲホッ……翠星……石…グッ……」 ……こうなることは分かっていた 雛苺と水銀燈はそのまま床にパタリと倒れ込んでしまった 「……どうするの、翠星石」 「……おかしいですね、こんなハズでは」 倒れた二人に首を傾げる翠星石 一気に静まり返った部室の空気を壊したのはドアの開く音だった 「さぁ、みんな今日も頑張って……ひ、雛苺!!」 「……真紅」 ホームルームを終え、部室に来た真紅は、血相を変えて倒れた雛苺に駆け寄る 「あぁ……どうしたの雛苺」 「綺麗な顔してるだろ……死んでるんだぜ、それ……ですぅ」 「そ、そんな……?…こ……これは!」 真紅は倒れた雛苺の指先、チョコで書かれたダイイングメッセージを見つけた ――はんにんは、すい 「すい……すい……水銀燈…ッ……よくも雛苺を…」 湧き上がる復讐の炎に駆られる真紅、なぜ翠星石の可能性は無いのだろうか 「蒼星石!水銀燈はドコ!?私の108式ピックが今こそ!」 まさに鬼の形相、あまりの迫力に蒼星石は言葉を失い、静かに倒れた水銀燈に指を指すことしか出来なかった 「水銀燈……よくも雛苺を………し、死んでる」 愕然、といった表情の真紅 犯人は水銀燈じゃない……だとしたら、誰 謎に包まれる部室、真紅は静かに倒れた水銀燈のうにゅーに手を伸ばした 「ッ……パットが無い……けしからん事なのだわ……」 ……何をしているのだろうか 「翠星石!!犯人は見なかったの!?」 真紅は立ち上がりざま、今度は翠星石に詰め寄る 「さっき金糸雀が向こうに走っていったです」 「……ッ…あの…卵おでこ……」 真紅はそこまで言うと風のように走り、部室を後にした 「……蒼星石…」 「……なに…」 あまりの惨劇に力無く顔を向ける蒼星石 雛苺と水銀燈はおろか、真紅と……金糸雀まで巻き込んでしまった 「このチョコは渡さないことにしたです……」 「……それがいいよ」 残された二人は思い思いに肩を落とし、放課後の部室を後にした 「……翠星石…あの写メ……」 「ああ、アレはカツラを被った翠星石です」 ………え? ニコッと笑う翠星石、夕焼け空に映える彼女はちょっとだけ綺麗に見えた * 「…ん……ちゃん……銀ちゃん!……」 「…あら…ばらし―……」 あれ?私はどうして床に……? 確か……ピルクルを……翠星石…ッ!! まだ喉がキリキリする、外は真っ暗で隣には綺麗な顔の雛苺 「あの……今日は……バレンタイン……」 顔を赤らめモジモジする薔薇水晶 一方、水銀燈はとりあえず自分の鞄から安全なピルクルを取り出して喉を休める 「……こ……これ…う………受け取って…!…」 赤い顔を隠すように俯く薔薇水晶、突き出した手の中には綺麗に包装されたチョコが握られていた 「あらぁ……ありがとう、ばらし―」 俯く薔薇水晶の頬を撫で、水銀燈は優しく微笑みかける 「…これは……カカオの栽培から…初めて…………カカオ99.9%の……で…でも……わ…私…の……愛情は……100……%……で………」 「ふふ……そうねぇ~じゃあ一緒に食べましょぅ」 「………うん!」 満月の下、二人分に分けたピルクルと二人分に分けたチョコ そして――辺りには響き渡る悲鳴 「カナは知らないかしら―――!!!」 fin 短編SS保管庫へ
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「くっ…メイメイ!」 「無駄だわ」 「! メイメイ!!」 「ふふっ…」 おかしいわ… この子、こんなに強かったかしら!? nのフィールドで散歩をしていた真紅を見つけた水銀燈はいつも通りアリスゲームを仕掛けた いつもなら完全に自分が有利になるはずなのに、今日ばかりは違った 真紅は落ち着いて水銀燈の動きを止め、更にメイメイまでも制した 完全に追い込まれた水銀燈の頬に真紅は手を当てる 「私もとうとう…ジャンクになるのね…」 そういって目をつぶる水銀燈 真紅はそのまま首に手をかけ――― 水銀燈の唇に自分のそれを押し付けた 「――――!?」 予想外の行動に、水銀燈は抵抗を試みる が、力が込められる真紅の手がそれを叶えなかった 「んふ…ぁう…」 更には真紅の舌が水銀燈の口内を犯し、水銀燈の思考を停止させた その間にホーリエが水銀燈の身体の身動きをとれなくさせ、脚を大きく開かせる形にした 「な…なにこれぇ」 「ふふふ水銀燈…貴女も運が悪いわ」 そう言って真紅は水銀燈の目の前に本を突き付ける そこには赤い字でこう書いてあった 『縄修業』 ―――つまりそれはSM本だ 「私がこの本を読んでるときに現れるなんて…実験台にしろと言っているようなものだわ」 「な…なあぁ!」 「ローザミスティカを奪われないだけマシだと思うのね…」 真紅は乱暴に水銀燈のドロワーズを脱がしてゆく 水銀燈はホーリエのせいで逃げるどこらか抵抗すら出来なかった 「なにすんのよぉぉ!」 「うるさいのだわ、まぁ、すぐに自分から欲しがるようにしてあげるわ」 ゾク…と水銀燈の背中に悪寒が走る これはきっととんでもないことになる そう思うのに時間はいらなかった 「さ、てと…」 本をパラパラとめくり、ある空間から出てきた小瓶と本の頁を見比べる そのまま本の真似事をするような慣れない手つきで、小瓶の中の液体を水銀燈のふとももにかけた 「や!気持ち悪い…」 液体は脚を伝い水銀燈の秘部を濡らす 真紅は小瓶に残った液体を、水銀燈の口に押し当てた 「さあ、呑むのよ」 「う……」 乱暴に口内に瓶を押し込み、そのあと鼻と口を押さえる 水銀燈は涙を流しながらそれを飲み込んだ 「げほ…うぇ……」 「じゃあ、効き目がでるまでは可愛がってあげるわ」 「きき…め?」 上目に真紅を見つめる水銀燈の胸を掴む真紅 手から溢れる乳房を恨めしそうに握った 「いた!いたいいたい…」 「まったく…こんな無駄な…」 なに…?いたいとは思うけど… なにかしら…これ… とろんと瞼を下げる水銀燈を見て、真紅はニヤリと笑う 「早いわね、素質あるのかしら貴女」 「え…?」 真紅の細い指は水銀燈の肉芽を弾いた 「ふああぁ!?」 「あら、かわいい声」 「な、なにして…」 真紅はそのまま指を下に下ろし、入口に円を書くようにくすぐった 「あく…やだぁなにこれぇ…」 「貴女だって自分でしたりするんでしょう?」 「し、しないわよぉ…!」 真紅はフン、と笑うと、そのまま指を沈めた 薬で濡れるそこは、指を簡単に受け入れた 「あく、ぁ…やめて…!」 「まだそんなことが言えるのね?」 水銀燈の中でバラバラに暴れる指二本 それは確実に水銀燈の理性を掻き消していた 「いや!いやあぁぁ!」 なにこれ、なんでこんなに… 気持ちいいの?―――― 「ぁふ、真紅!真紅う!」 「なに?水銀燈」 喉に詰まる言葉は、指の動きによって口まで運ばれた 「おかしいのよぉ!気持ちいいの!気持ちいいのよぉ!!」 「そう…」 スルリと抜かれる指 拍子抜けした顔をする水銀燈 「え…?」 「だって気持ちいいのでしょう?なんで私が貴女の喜ぶことをしなきゃいけないの?」 「そ…んな……」 ホーリエの拘束も解かれ、その場に崩れ落ちる水銀燈 真紅はその水銀燈の前に仁王立ちする 「ふふ…だらし無いわね水銀燈」 「くっ…」 「ねぇ、辛いのでしょう?」 そう言ってひくつく秘部にまた指を這わせる 「どうしてほしいか、言える?」 「あ…う……」 最早水銀燈にプライドなんてなかった――― 「お願い!もっと辱めて!」 「あら、予想以上の台詞だわ…」 真紅はゆっくりと指を動かし出す すると、水銀燈は我慢ならないと言うかのように腰を動かした 「あらあら、水銀燈、まるで遊女ね!薔薇乙女の誇りはどこへ行ったのかしら!」 「んはぁ…もっとして真紅…」 「ふふ、珍しい貴女も見れたし、いいわよ。最高の景色見せてあげるわ」 三本の指は中を掻き回し、親指は肉芽を押し潰す それだけで水銀燈を絶頂に向かわせるのは充分だった 「あっ!あっ!も、ぅ…ふゃあああ!!!」 水銀燈は今までで一番気持ちのいい疲労感を味わった―――― 「…水銀燈、実験台になってくれてありがとう さて、今度は誰を相手にしようかしら…」 そう言って立ち去ろうとする真紅のドレスを掴む水銀燈 だらし無く唾液を垂らした口で何かを言おうとしている 真紅には言いたいことが、わかっていた 「次も私にして」 と――――― END
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胸。 真紅「はぁ……」 真紅は、ため息を一つつく。 そして、自分の一部分をじっと見た。 胸。そう、胸の部分だ。 真紅「はぁ……」 無いに等しい自分の胸。 牛乳も飲んでるし、夜のマッサージも欠かさない。 しかし、育たないこの胸。 真紅「はぁ……」 水銀燈「なぁに、辛気臭いため息ついてるのよぅ」 ヤクルトを飲みながら、ため息をついている真紅に声をかけるのは ローゼンメイデンの教師の中でも、一番胸があるだろう水銀燈。 真紅「………はぁ」 水銀燈「なによぅ。弄りがいの無い反応は」 真紅「別にぃ」 何処かやさぐれた感じに返答する真紅。 水銀燈「大方、胸の事で悩んでたんじゃないのぅ?」 真紅「なんで分かるのだわ!」 シャーと、威嚇する真紅。 水銀燈「まぁ、落ち着きなさいよぅ。この水銀燈が胸が大きくなるに必要なものを教えてあげるわ」 キランと、光る水銀燈の目。 何処か頼もしげだが、真紅で遊んでますって感じがありありと見て取れた。 真紅「必要なもの?」 水銀燈「そう。この私がこの胸になるには二つのモノが必要だったわぁ」 真紅「それは?」 水銀燈「ヤクルトとプロテインよ」 真紅「ヤクルトとプロテイン!」 ちなみに、 ヤクルトは、腸の働きを良くしてくれる乳酸菌。 プロテインは、大豆から作られた筋肉をつける為のモノである。 胸が育つ。とは遠くかけ離れている。 真紅「わかったわ……」 水銀燈「がんばってねぇ~」 ケラケラと笑いながら水銀燈は、その場から去った。 そして、数日後。 真紅「すぃぎぃぃいいんとぉおおお!!!」 水銀燈「うひゃぁ?! な、なによぉ?!」 背後からの、怨霊じみた声にびっくりする水銀燈。 後ろを振り向けば、明らかにダークな真紅が其処にいた。 真紅「こうなったのは、あなたのせいよぉおおお!!」 そういって、真紅はりんごを一つ手に取ると 水銀燈「え?」 握りつぶした。 真紅「胸は育つところか、心なしか減ったのだわ……」 水銀燈「そ、そぅ?」 真紅「この落とし前……どうつけてくれるのだわ……」 ガシッと、水銀燈の頭をつかむ真紅。 水銀燈「ちょ、ちょっとしたお茶目じゃない!!?」 真紅「水銀燈……アナタは、してはいけない事をしたのよ……さぁ、こっちにくるのだわ」 ズルズルと引きずられていく水銀燈。 水銀燈「ちょっ?! 真紅?! ぃいいやぁああーーー!!!」 水銀燈の絶叫が、学校内に木霊した。
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■東西学園 男女制服資料 確定版■ ★資料1★女子制服基本デザイン オーバー(ワンピ型の上着)+インナー+スカートが基本 ボタンは前面5対,背部1対,袖に1つずつ ボタンは☆を2つ重ねたデザイン 首元のリボンは襟から出すこと オーバーは固めの素材なのであまり皺は寄らない ★資料2★女子制服用 寸法合わせプレート 青ライン=ボディの位置確認 グレーのエリア=襟 緑のライン=オーバーの袖 オレンジのライン=インナーの形 モスグリーンのエリア=リボンの形 茶色の丸=ボタンの位置 ワインレッドのライン=オーバーの前合わせ ★資料3★オーバーを脱いだ状態 リボンはピン留めです アンダーはホワイトのパリッとした薄い素材 アンダーの襟に折り返しはありません アンダーの袖はスリット有 アンダーはスカートの中に入れてもいいです ★資料4★男子制服デザイン 男子は右開きケーシータイプの上着になります インナーとボタンのデザインは女子と同じ ボタンは前面5個のみ 左胸にポケット(フェイクではない) ズボンはストレートタイプ
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『色褪せない思い出を』 朝の登校時間が、薔薇水晶の気に入りだった。 銀色の髪を風に靡かせて歩く彼女と、一緒に居られるから。 ――二人だけの時間。二人だけの世界。 隣に並んで歩いているだけでも充分に楽しい。時が経つのも忘れるくらいに。 まして、言葉を交わそうものなら、天にも昇る心地になるのだった。 どうして、こんなにも水銀燈の事が愛おしいのだろう。 記憶を辿っても、これほどに他人を好きになった事は、生まれて始めてだった。 「ねえ……銀ちゃん。今日、帰りがけにケーキ食べて行かない?」 「また『えんじゅ』のケーキバイキング? 薔薇しぃも好きねぇ」 「育ち盛りだから…………えっへん」 悪戯っぽく胸を反らす。制服が押し上げられ、ふくよかな双丘が強調された。 水銀燈には及ばなくとも、薔薇水晶だって日に日に大人へ近付いている。 背の伸びは流石に止まったけれど、ボディラインはなだらかに成長中だ。 「まぁ、いいけどねぇ。あそこのケーキは、しつこい甘さじゃないからぁ」 「ホント? じゃあ、約束だよ♪」 楽しく過ごす、ひととき。こんな時間が、もっと続けばいいと思う。 今日の放課後もまた一緒に居られると考えると、薔薇水晶の心は躍った。 ――そこに、薔薇水晶の浮かれた心に冷や水を掛ける様な声が届いた。 「もう帰りの予定を立てているの? まだ学校にも行っていないのに」 真紅の声を受けて、水銀燈は徐に振り返った。 子供みたいに無邪気な笑顔。真紅と話す時、水銀燈はいつも、そんな顔をした。 薔薇水晶には、ただの一度も向けたことがない笑顔―― 「あらぁ? 珍しいわねぇ、真紅ぅ。貴女が遅刻なんてぇ」 「ちょっと、目覚ましの調子が悪かったのだわ」 「本当かしらぁ。実は、二度寝して大慌て……ってトコじゃないのぉ?」 「ばっ……ばか言わないでちょうだい! この私が、そんな無様な――」 慌てて否定する真紅。水銀燈は、並んで歩きながら談笑を続ける。 薔薇水晶の脚が、止まった。二人の姿を見ていると、間に入るのが躊躇われた。 なんだか、言いようのない感情が心の奥底から沸き上がってくる。 たかが幼馴染というだけで、すんなりと水銀燈の隣に収まってしまう真紅が、 疎ましくさえ思えた。 「どうしたのぉ、薔薇しぃ。置いてっちゃうわよぉ?」 水銀燈の声にハッと顔を上げると、二人は随分と先まで進んでいた。 あんなに先まで…………私の存在なんか、すっかり忘れられてたのね。 「あ、待ってよ~。銀ちゃ~ん」 笑顔を見せて、駆け出す薔薇水晶。けれど、それは作り笑いでしかなかった。 心は笑っていない。ちっとも面白くなかった。 さっきまでは、あんなに幸せを感じていたのに……。 ――どうして…………こんな気持ちになるの? 教えてよ、銀ちゃん。 教室でも、昼食の時でも、薔薇水晶は水銀燈の側に居た。それこそ、影の様に。 彼女の呼吸を感じるだけで安堵できる。ここは薔薇水晶にとって、特別な場所。 水銀燈の側に居るためなら、他のことなど蔑ろにしても構わなかった。 「ちょっと、薔薇しぃ……幾ら何でも、授業中にくっ付きすぎよぉ」 「だって……こうしてるのが好きなんだもん」 授業のノートも取らずに、薔薇水晶は隣の席に座る水銀燈の左手を、 ぎゅっと握りしめていた。 楽しい。こうしているだけで、凄く愉しい。 授業も成績も、どうだっていい。銀ちゃんと、色褪せない思い出を紡げるなら。 ――休憩時間。 トイレから戻った薔薇水晶は、教室に入ろうとして、 愉しげに話す真紅と水銀燈を見るなり立ち止まった。 扉の陰に隠れて、思わず聞き耳を立てる。一体、何を話しているのだろう? 「薔薇水晶に、随分と好かれているのね。でも、さっきの授業中の態度はなに? あまり関心はしないのだわ」 「そうは思うのよねぇ。でも、薔薇しぃも悪気があってやってる訳じゃないし。 あんなに懐いてくれると、私としても悪い気しないのよねぇ」 「もう少し、素っ気なくしてもいいと思うわよ? 薔薇水晶の為にも」 「確かに、私にべったりなままじゃあ、他の誰とも仲良くなれないわねぇ」 なにそれ。私のため? よしてよ、冗談じゃない。 私は今のままで充分に幸せなのに……どうして、そんな事を言うの? 薔薇水晶は扉の陰で、唇を噛み締め、拳を握った。 水銀燈が話しかけてきたのは、六限目が終わって、帰ろうとした矢先の事だった。 「薔薇しぃ。今朝の約束なんだけどぉ……ごめん」 「ダメなの?」 「今日、急な用事が入っちゃったのよぅ。本っ当に、ごめんなさぁい」 両手を合わせて謝る水銀燈に、薔薇水晶は「いいよ」と応じた。 そりゃあ残念だけれど、急用ならば仕方がない。 駄々をこねて嫌われるのも厭だ。 「その代わり、今度なにか奢ってね」 「うんうん。そりゃあもう、何でも御馳走してあげるわぁ」 「嬉しいっ! 期待してるからね」 「ちょっ……んもぅ、すぐ抱き付くんだからぁ」 温かい。水銀燈の体温を感じているだけで、心が安らいだ。 ずっと、こうしていたい。このままで居させて。 けれど、薔薇水晶の願いは水銀燈の腕によって、やんわりと拒絶された。 「あ…………」 「ごめんね、薔薇しぃ。そろそろ行かなきゃ。待ち合わせてるからぁ」 「う、うん…………じゃあ……また明日ね」 水銀燈は薔薇水晶に微笑みかけて、鞄を手に、教室を後にした。 小走りに駆けて行く彼女の背中は、なんだか嬉しそうだ。 誰と待ち合わせているのだろう。ちょっとだけ、心が痛かった。 ――ひとりぼっちの帰り道。 偶然、ショッピングモールへ消えゆく彼女たちを見かけた。 水銀燈と…………真紅。 酷い。私との約束を反故にして待ち合わせていたのは、彼女だったなんて。 ちらりと見えた二人の横顔は、とても愉しそうだった。 「真紅…………貴女は何故、私と銀ちゃんを引き離そうとするの?」 真紅のせいで、銀ちゃんは私との約束を守らなかった。 薔薇水晶は自分の中で、羨望が妄執に変わっていくのを感じた。 貴女と、銀ちゃん。 幼馴染みという関係を、どれだけ私が羨んだか……貴女には解る? きっと、解らないわよね。解る筈がない。 貴女にとって、それは息をするほどに自然な事なのだから。 「貴女が羨ましい。当たり前のように、銀ちゃんと並んで歩ける貴女が」 私も、水銀燈の隣に収まっていたい。今の、真紅みたいに。 出来るものならば、私と真紅の立場を入れ替えてしまいたい。 そうすれば、きっと私の心は救われる。銀ちゃんも、私だけを見てくれる。 「そうよ…………そうすれば、きっと――」 その日の夜、薔薇水晶は学園裏の城址公園に、真紅を呼び出した。 手には、長細い紙包み。それを両腕で覆い隠すようにして、胸に抱え込んでいた。 【薔】渡したいものが有るの……午後九時ごろ、城址公園に来て下さい。 メールの内容は、それだけ。 送信した後、真紅からメールが何回か届いたけれど、すべて無視した。 電話がかかってきても、全く無視。 真紅は、来るだろうか? 来てくれるだろうか? 来てくれないと困る。 腕時計を確認すると、あと十分で九時になるところだった。 薔薇水晶の身体が震えた。冷たい夜風のせいか。 それとも、これから自分がしようとしている事への戦慄きか―― ざっ―― 薔薇水晶の背後で、砂利を踏む音がした。 「待たせたわね、薔薇水晶。渡したいものって、何なのかしら」 真紅は一人だった。周囲には自分たち以外、誰も居ない。 「ありがとう、真紅。ごめんね……こんな時間に呼び出したりして」 「構わないのだわ。それより、どういう事なの? 電話にもメールにも返事が無いから、何か有ったのかと心配したのよ」 「別に、何も。それより…………渡すもの……あるから」 それは、一瞬の出来事だった。 ざっ―― 砂利を蹴って真紅の正面に飛び込みながら、薔薇水晶は紙包みを破り捨てて、 鋭利な輝きを放つ凶器を取り出していた。 そのまま、驚愕のあまり硬直した真紅に、身体ごとぶつかっていく。 鈍い衝撃。薔薇水晶の手に、生々しい手応えが伝わってきた。 真紅は茫然と、目の前の少女を眺めていた。お腹が、灼けるように熱い。 刺されたのだと解ったのは、五秒以上も経った頃だった。 握り締めていた携帯が、指の間から滑り落ちた。 「ば…………ら、水晶?」 「…………真紅……貴女に渡したいものって…………引導なの」 細身の刺身包丁は、真紅の鳩尾に深々と突き刺さっていた。 薔薇水晶が手首を捻ると、胃を切り裂いたのか、真紅は吐血した。 「どう……し……て?」 「ゴメン…………真紅…………邪魔なのよ、貴女が」 「?!」 「貴女が居ると、銀ちゃんは私を見てくれなくなる。だから……消えて!」 思いっ切り、刺身包丁を引き抜く。 そして、渾身の力を込めて、再び真紅の腹を刺した。 「消えて! 私の前から消えて! 銀ちゃんの前から消えてよっ!」 真紅は、仰向けに横たわったまま、虚ろな眼差しで夜空を眺めていた。 もう動かない。真紅の服は、彼女の名を示すように、紅く染まっている。 「貴女が悪いのよ、真紅。私の居場所を……奪おうとしたんだから」 夜風に温もりを奪われていく真紅の亡骸を見下ろしながら、薔薇水晶は呟いた。 糸の切れた操り人形みたいに倒れている真紅。 不意に、喉の奥から酸っぱいモノがこみ上げてきて、薔薇水晶は吐き散らした。 ホントに、これで良かったの? そんな思いが、胸に去来する。 「良かったのよ、これで。当たり前じゃないの」 自らの弱気を振り払うように、薔薇水晶は吐き捨てた。 今更、後戻りなんて出来ないんだから。 これからは、私が真紅のポジションに入るのよ。誰よりも、銀ちゃんの近くに。 まずは、真紅の遺体を片付けなければならない。 私が犯人だと言う事は、誰にも知られてはならない。 死体を埋める穴は、前もって掘ってある。シャベルも置きっ放しにしてあった。 後は、そこに運ぶだけ。速やかに埋めてしまうだけ。 「さあ……真紅。あっちに、行こう?」 薔薇水晶は真紅の傍らに跪いて、眠った子供を起こすように囁きかけた。 その時、一筋の光芒が薔薇水晶を照らし出した。 驚いて振り返った薔薇水晶の眼を、眩い光が刺激した。闇に慣れた目が眩む。 こちらからは影になって、相手が誰か解らなかった。 声を、聞くまでは―― 「真紅っ! 薔薇しぃ!」 「銀……ちゃん」 どうして、彼女が此処に? 薔薇水晶は狼狽えた。 最も見られたくなかった相手が、よりにもよって、最も初めに来てしまうなんて。 「銀ちゃん…………何故、ここに?」 「真紅が電話してきたのよ。これから、薔薇しぃと城址公園で会うから、 一緒に来てくれないかって。これは一体、どういう事なのよぉ!」 「こ……れは、……えっと」 「どきなさい! 真紅っ! しっかりするのよ! 死んじゃダメぇ!」 水銀燈は服やスラックスに血が付着する事も構わずに、真紅の身体を抱き上げた。 脈は無い。呼吸も停止している。 水銀燈は力無く弛緩した親友の顔に頬を摺り寄せて、はらはらと涙を流した。 「そんな……真紅ぅ…………真紅ぅ……私、こんなの……イヤよぉ」 「銀ちゃん……私……」 ――ごめん、銀ちゃん。真紅を殺したのは、私なの。 本当のことなど、絶対に言えない。何とかして、誤魔化さなければ。 でも、動揺を抑えきれない。焦れば焦るほど、思考は空回りしてしまった。 水銀燈が、思い出したように携帯を取り出した。 「ぐすっ……とにかく…………通報……しなきゃ」 通報?! ダメだよ、そんなの。 警察に知られたら、凶器に残った指紋から、私が犯人だとバレてしまう。 もう、銀ちゃんの側には居られなくなってしまう! ――それだけは、厭! 絶対にイヤだ! 折角、真紅を追い払ったのにっ! 次の瞬間、薔薇水晶は水銀燈の手を叩いて、彼女の手から携帯を跳ね飛ばしていた。 そして、水銀燈が言葉を発するより早く、彼女の肩を抱き締めていた。 「ダメだよっ! 通報なんかしちゃ、絶対にダメよ!」 「……え。薔……薇……しぃ?」 「お願いだから、通報なんてしないで! 誰にも言わないで!」 「――っ! まさか、貴女が……真紅を?!」 どんっ! 水銀燈は薔薇水晶を突き飛ばして、後ずさった。 怯えた眼差しで、薔薇水晶を凝視している。 薔薇水晶は、血だまりに落ちていた刺身包丁を拾い上げて……。 「お願い…………ずっと、私の…………側にいてよ」 衝動的に、二人を殺してしまった。取り返しの着かない事をしてしまった。 薔薇水晶は足元に転がる二人の亡骸を、茫然と見下ろしていた。 私は一体、何をやっているの? 二人の身体から流れ出した血液が、砂利の上で一つに混ざり合っていた。 この二人は、死して尚、一緒に居ようとするのね。 結局、私がしたことは二人を永遠に結び付けただけ……。 「だけど…………私は…………諦めない!」 ――何時までも、何処までも、一緒に居たいと願ったから。 薔薇水晶は、自らの喉に、包丁の切っ先を突き付けた。 私の魂は、二人と同じ場所へは行けないかも知れない。 だけど、せめて…………この世界では、一つに成りたかった。 一つに混ざり合って、お別れしたかった。 腕に、力を込める。 自分の身体から溢れ出す血が、二人の血だまりへと流れ落ちていく。 薔薇水晶は、心からの微笑みを浮かべた。 ――私も、混ぜてよ。銀ちゃんと真紅の血液に。 意識が途切れる直前、薔薇水晶は一陣の風が自分を包み込むのを感じていた。 なんだか、とても温かくて、懐かしい感覚。 これは、一体―― 「これはまた……随分と、直情径行の強いお嬢さんですね」 「だ、誰? どこに――」 「貴女の後ろに居ますよ。お嬢さん」 そう話しかけられて振り返った薔薇水晶が目にしたのは、 タキシードを着て、小さなシルクハットを被ったウサギの紳士だった。 「あなた……誰なの?」 「日常と非現実を渡り歩く道化に、名など有りませんよ。 ワタシはただ、お嬢さんの希望を知って、お節介を焼きに来ただけです」 「私の希望?」 「ええ。あの二人と、一緒に居たい……と、願ったはずですよ」 そう。確かに、そう! 私は、二人と一緒に居たいと思った。 血だけでも、一つに混ざり合いたいと願った。 だから、私は…………自ら喉を刺し貫いた。 薔薇水晶は、そこで違和感を覚えた。 刺した筈なのに。さっきまで、もの凄く痛かったのに……。 気付けば、傷は無かった。 「まさに間一髪、でしたね。今回は流石に肝を冷やしました」 道化ウサギは額に手を遣って、汗を拭う仕種を見せた。 ふっ……と、薔薇水晶の頬が緩んだ。 「私は、罪を償うまで死ぬ事を許されない…………と言うの?」 「そうです。アナタは自分の過ちに気付き、贖罪しなければならない」 私の過ちは……銀ちゃんの側に居たいが為に、安易な解決策を採ってしまったこと。 色褪せない思い出が欲しくて、真紅を邪魔だと思ってしまったこと。 あの二人の絆に、考えを巡らせたりはしなかった。 「結局、色褪せない思い出なんか無かったのね」 「心の中で美化し続ける事は可能でしょう。 けれど、それは最早、最初に感じた美しさとは違います。 継ぎ接ぎだらけの形骸にすぎない」 「思い出は、生きていればこそ紡ぎ続けられていくもの……か」 「その通り。殺してしまったら、新たな思い出を作ることも出来ません。 ただ、過去を偲び、楽しかった思い出を美化して行くだけです」 それが、私の…………本当の過ち。 思い出を守り、これからも作り続けたいなら、二人の絆に飛び込むべきだったのだ。 二人の絆に溶け込んで、やがて一つになれるまで、徹底的に付き合うべきだった。 「やり直せたら…………良いのに」 「チャンスは、誰にでも与えられるものですよ。勿論……アナタにもね」 道化ウサギは目を細めて笑うと、懐中時計を取り出して、針を動かし始めた。 ――朝。 執事に起こされて、薔薇水晶の一日は始まる。 「お嬢様。お急ぎになられませんと、水銀燈お嬢様を待たせてしまいますぞ」 水銀燈とは、毎朝、待ち合わせをしている。 薔薇水晶は顔を洗っても寝ぼけ眼のまま朝食を摂り、身支度を始める。 歯を磨き、制服に着替えて、髪を梳く。 今日の授業日程を見ながら、鞄に教科書を詰め込んでいく。やばい、もう時間だ。 「いってきま~す!!」 弾丸のように玄関を飛び出し、約束の場所へ―― 銀ちゃんはもう、来ているだろうか。早く会いたい。会いたくて仕方なかった。 いつもの待ち合わせ場所で、彼女たちは雑談をしていた。 銀ちゃんと、真紅。とても仲がよさそう。 薔薇水晶の脚が、止まる。けれど、次の瞬間には全力疾走していた。 そのまま、水銀燈と真紅に飛び付いて、ギュッと抱擁する。 「おっはよーう!!」 「ちょっと、薔薇しぃ…………朝からテンション高すぎよぅ」 「まったくだわ。貴女、その抱き付き癖、なんとかならないの?」 えへへ……と照れ笑いながら、薔薇水晶は二人にしか聞こえないほどの小声で、そっと囁いた。 「二人の事が…………大好きだからだよっ♥」 「やれやれ……本当に、世話の焼けるお嬢さん達ですねえ」 道化ウサギは、屋根の上から三人の薔薇乙女を見下ろしていた。 その眼差しは優しい。まるで、愛娘を見守る父親のようだった。 「手の掛かる子ほど可愛い……というのも、あながち間違いではないようです。 まあ、この調子なら三人の絆が一つになるのも、そう遠くないでしょう」 さて……と、道化ウサギは両腕を天に突き上げて、背筋を伸ばした。 「道化は早々に退散すると致しましょう。そうそう。お節介ついでに、もう一つ。 薔薇乙女達に、尽きる事なき幸福が訪れんことを」 祝福の言葉を残して、道化は一陣の風と共に消えた。